慶和駅から安民峠へ。バスは途中で停まり、少し歩いて登る。アスファルトの代わりに板を敷き詰めた歩道なので足に優しい。登り始めて「すごーい!」という声に振り返ると道の両側の木から枝が伸びて、この時期見事な桜の花のトンネルができている。こんな光景なら声も出ろう。いや、ここはやはり「ため息」の方が似合うというもの。
桜の古木のコブから新芽が出て、一丁前に花を付けている。こぼれんばかりの花もいいが、こうした小さな命にも感動する。
小さな展望台までくると、眼下に鎮海(チネ)の街と海が一望できるのだが、この日はあいにく少しもやっていてはっきりとしない。
月別: 2012年5月
120529 八重のドクダミ
4月から賑やかだった庭も一息ついて静かになったと思ったら、あっという間に白い花で覆われてしまった。安曇野に行ってしまった友から置き土産(形見かな)としてもらった八重のドクダミが一気に花開いたのである。三光の友だちが、ドクダミは増えすぎて始末に終えなくなるぞ、と脅していたが、植えた場所以外のところにもその勢力を伸ばしていまやあちこちでわが世の春を謳歌している。
昔ながらのドクダミ(十薬)も好きなのだが、八重の花には負ける。その白さが際立つのと何の色を移したのか、花びらの先になんともいえない朱色(あかいろ)が映し出されるとその白さがいよいよ透明感を増してくる。あとは雨に濡れたドクダミが見られたら・・・・・・・。
120528 韓国桜紀行9(慶和駅の桜)
この駅は旅客業務をやっていないのだが、毎年桜の時期には多くの観光客が訪れるため、2009年から軍港祭の時だけ臨時に運行を再開するようになったそうだ。そして、ここは映画「天国までの60日」やドラマ「春のワルツ」のロケ地だそうだが、残念ながらどちらも観ていない。だが、女性たちはちょっと興奮気味である。桜だけでも素晴らしいのに、ここには線路があって一日2往復だけだけど列車が通る。おまけにドラマの舞台となれば興奮するのも無理ないか。桜の散る時に列車が通り過ぎると桜が吹雪のように舞う、とはガイドさん。観てみたいもんだ。
若い女の子が二人、線路の上に乗って、手を伸ばして握り合っている。ひょっとしてそんな場面がドラマの中にあったのかな。
120526 韓国桜紀行8(仏国寺)
仏国寺への道筋には桜並木が続く。もうかれこれ15分は走ったか。その間、延々と続いている。しかし、高度が高くなっているのか、ほとんどがつぼみの状態だ。出発前日の予報では慶州では10・11日が雨となっていた。少し遅れているのかまだ降り始めていない。
仏国寺。世界遺産。「一生に一度は訪れたいところは、日本では伊勢神宮でしょうが、韓国ではこの仏国寺です。私はこの頃、一週間に一度になってしまいました」とはガイドさん。8時にホテルを出発したため、いつもは大勢の観光客でいっぱいのはずが私たちで貸しきり状態。紫霞門とその石段の前は撮影スポットで、普段は人影を見ないことなどないはずですとガイドさんの自慢。
ところが、そのガイドさんが一番熱を入れて説明し、みんなが一番熱心に聞いていたのは「金のブタ」。これは幸運のブタで、私はこれをなでてから宝くじを買うことにしていますとはこれもガイドさん。それにしてはいまだにガイドを続けているのは・・・・・・。
120524 韓国桜紀行7(普門湖)
夕方近くなったが、2日目の最初に予定されていた「普門湖」を訪れる。湖は普門観光団地の中心にあり、約50万坪といわれる広大さで、緑の山並みに囲まれて素敵なここは人口湖という。湖に沿って長く続く散策路は4月になるとピンク色に染まると宣伝されているが、桜はまだ4分咲きくらいで、柳の新芽の緑の方が目立っている。
湖には遊覧船もあるそうだが、岸辺にはハクチョウ(?)のボートがたくさん並んでいた。日が落ちてくると全体が赤く染まってきてロマンチックである。夕食会場からホテルに戻る途中、コンビニによって飲み物食べ物を買い込んで一部屋に集まっておしゃべりをする。これがグループで出かけた旅行の醍醐味でもある。
その帰りに面白い形をした松を見た。たしかに松はその枝ぶりが命なんだが、それにしても曲がりくねり過ぎていないか。
120522 韓国桜紀行6(石窟庵)
韓国世界遺産のひとつ。入り口の一柱門をくぐると本堂までの約1キロを歩く。山の中にあって意外と平らで歩きやすい。最後に登る石段がきつい。きついからこそありがたさが募ってくるのだろう。
統一新羅千年の歴史と息遣いのこもった石窟庵は、韓国仏教芸術の最高傑作で、1995年に仏国寺とともに世界遺産に登録された。土を盛った本堂の中に安置される本尊仏・釈迦如来坐像は、その温和な表情と花崗岩を丸彫りしたなめらかで体温まで感じられる、ほんとに美しい姿をしている。見惚れてしまう。もちろん撮影は禁止。
バスまでの帰りに、小学生たちに出会う。筆箱を持っているので、遠足ではなく社会見学か。すれ違いながら子どもたちが「こんにちはー!」と大きな声で挨拶をする。どこで日本人と分かったのだろう。
120520 韓国桜紀行5(酌川亭の桜3)
「お父さん、あの演歌の人たちが気に入ったみたいやね」と連れ合い。気に入ったという軽いものではない。「引き付け」られてしまったのである。遠くからも桜並木が望めるが、それとともにすごくノリのいい音楽が聞こえてくる。日本の演(怨)歌よりももう少し明るく、調子よく、力強い。
屋台をひやかす人、桜に見とれるヒト、トイレを探すひとから離れ一人で歌声のするほうに急ぐ。人だかりの間から見えた歌う人のカッコウに驚いた。日本で言えば、そう、あの「小梅太夫」か?それ以上に派手で・・・・、なんと表現していいのやら。とにかく写真を見て欲しい。
マイクを持っているとはいえ、声量もすごく、そんじょそこらの歌手では及びもつかない上手さである。これまた同じようなカッコウの中年の女性が箱を持って観客の中を歩き回る。きれいで洗練されたKポップとは対極の、日本では今ではほとんど見ることのなくなった大道芸人のルーツではないだろうか。そうしたものの持つたくましさ、泥臭さ、凄みを感じて引き付けられるのだ。